AZUQUITA Y SU MELAO

La Salsa C'est Pas Compliqué

2000 [Melao Records]
 ロベルト・ロエーナ〜コルティーホ〜ティピカ73〜ルイ・ラミレスなどで、古いサルサファンに知られているカミーロ・アスキータ。80年頃から活動の拠点をパリに移しているパナマ生まれのベテラン歌手だ。ソンの歌手とタンボリート(パナマの伝統音楽&ダンス)の歌手を両親に持つだけあって、15歳でのプロデビューという早熟なキャリアの持ち主である。イスマエル・リベーラを筆頭に、黒くハスキーな声を売りとするソネーロは少なくはないが、ゴムマリのように弾む快活で暖かなアスキータの歌声は、彼だけが持つ無二の個性である。このアルバムのタイトル曲のようなパラディアム時代直系のサウンドとも抜群のフィットを感じさせるのは、そんな彼の魅力を熟知したアレンジャー、オスカル・エルナンデスの力量なのだろう。
 中盤の多くのアレンジは、リカルド・レンボ&マキーナ・ロカ、エドウィン・ボニージャなどでも才腕をふるい、歌手としても活躍するヘスス・ペレス“エル・ニーニョ”。オーソドックスな曲調の中、随所にパナマ風味の味付けを施している。また、近年大きな輝きを増しているボレロ・ナンバーでのアスキータの声も忘れてはならない魅力だが、今回も味の染みわたった珠玉のボレロが一曲収録されている。リッキー・マーティンのサッカーW杯のテーマをあしらったキャッチーなダンスナンバーは、間違いなく〈踊りたいゴコロ〉を沸き立たせる、このアルバムの目玉のひとつ。
 ユリ・ブエナベントゥーラの活躍をはじめ、近年パリのサルサシーンも充実をみせているようだが、ベネズエラ出身のパーカッショニスト、オルランド・ポレオらの地道な活動や、この味わい深き伝説のソネーロ、アスキータ率いるメラオの東奔西走を語らずして、この地のサルサシーンは語れないのである。ちなみに上のジャケットはフランス盤だが、帽子が目印のUS盤もリリースされている。(2001.03 SY)