ORLANDO WATUSSI

Barrio

2000 [Latin World 00304]
 プロとして30年余りのキャリアを持つオルランド・カスティージョ "ワトゥーシ" は、ソロとしてのレコーディングは少ないながらも、ニューヨークの典型を丁寧に歌ってきたシンガーである。ベネズエラ出身の歌手として知られている彼は、以前何かのインタビュー記事で、生まれはプエルトリコというのを読んだのだが、本当のところはどうなのだろう。「ニューヨークの生活に疲れた」らしく、イタリアを生活のベースにしている(奥方はイタリア人)ということだ。
 さてこの作品も70sサルサが好きな人間にとっては、またタマらないトロンバンガ(ホーンはトロンボーンのみ)で、彼の頑固なまでに貫かれたサウンドへの美学を窺うことができる。そこにいるミュージシャンも絵に描いたように的を得たキャスト。レイナルド・ホルヘを筆頭とする6人のトロンボーン、ホセ・マングアル・Jr、パポ・ペピン、ボビー・アジェンデ、ラルフ・イリサリー、ルイ・ラミレスといったパーカッション陣にオスカール・エルナンデス、イシドロ・インファンテ、セルジオ・ジョージらの鍵盤も絡む。コロにはティト・アジェン、アダルベルト・サンティアゴなど。気の弱い歌手ならチビリそうな面々だ。
 自作による9曲すべてのトラックは、やはりホセ・フェブレスやハビエル・バスケス、マーティ・シェラー他、ハードコアなニューヨーク・サウンドを仕上げさせたらこの人たちしかいない、といったアレンジャーたちの名前が並ぶ。
 ラロ・ロドリゲス、アミルカル・ボスカーン、ウィリー・コローンらとともに、カテゴライズされたロマンティック・サルサにはない、サルサのロマンティシズムを聞く者の心へさらりと忍ばせることのできる、数少ないアーティストといえるであろう。(2001.08 SY)