YOLANDA RAYO

Tiempos Mejores

2001 [Sonolux 84473]
 コロンビアの稲妻(rayo)姉さん、ヨランダ・ラヨ。今度はそう来ましたか。意外や意外。コロンビア北部のキラキラとしたパン・カリビアン・サウンドではありませんか。
 カーニバルでお馴染みのバランキーヤやカルタヘナといったカリブ沿岸地域には、カリブ海の島々の様々な音楽が漂着し、カリやボゴタといった町とは違った独自の音楽が形成されてきた。こうした音楽とサルサやクンビアなどをミックスさせながら人気を獲得していったのが、お馴染みのジョー・アローヨで、ロス・トゥパマロス、チェコ・アコスタなんかも、このあたりのポピュラーなアーティストたちだ。セリーナ・ゴンサレスやセリア・クルース他、先達の名曲を歌い続け、オスバルド・ピチャコのプロデュースのもとポップなサルサをヒットさせ、次も当然サルサ路線をガンガン突き進むかと思いきや、ボゴタ出身のヨランダ・ラヨが、そういったソン・カリベーニョの類に手を出すのはやはり意外なこと。ソカやメレンゲっぽいもの、マイアミ・サウンドマシーンのような曲調、クルラオなど、今までになくトロピカルなリズムに挑戦しているが、相変わらず「アキ・ジェゲ・コモ・ウン・ラヨ!」のかけ声とともに、表情豊かな力強い声を披露している。決して民俗調なものにならず、あくまでポップでモダンなアレンジが素晴らしい。
 こうした比較的伝統色の強い音楽では、果たしてどういったプレーヤーが、伝統楽器をいじっているのかも気になるところだが、やはり強者の名前を発見。グアチェ(竹筒マラカス)や沿岸の小太鼓を初めとする様々なパーカッションを、ロベルト・クアオが担当している。ロベルト・クアオはロンドンのサイドステッパーなんかにも参加している、バランキーヤ出身のパーカッショニスト/ドラマーだ。
 このCDにはボーナストラックとしてヒット曲 "SE DICE DE MI" が挿入されている。Sonoluxからリリースされている前作にも収録されているが、クドいながらに今回のアルバムにもくっつけた背景には、今回のアルバムこそ世界的なマーケットに流し入れようというレーベルの意欲の現れなのだろうか。1999年の来日時にヨランダ本人が語ってくれた「目標はグラミー」という言葉が思い出されるが、カリブ音楽ファンにしてみれば、カネをかけまくったグラミー常連アーティストよりも、遥かに輝いているアルバムに見えるのだけれど。(2001.10 SY)