TANYA ST-VAL

Live Au Zenith

2001 [SME France EPC501474]
 グアドループの歌姫タニヤ・サン=ヴァルは、エクスペリエンス7やズーク・マシーンをバックに、1980年代半ば颯爽とシーンに登場し、ズーク・ムーブメントを牽引した一人で、ズーク界のアイドルとしてすぐにグアドループで最も人気のある歌手となった。90年代に入ると、彼女のソウルフルな歌声とマッチした、R&B指向の強いズークに挑むようになり、ラップなども早くから取り入れ、米国的な洗練を重ねていくことになる。折しもこのようなクラブ系のズーク・サウンドは、歌モノや伝統、パン・カリブを特徴とするマルティニークのズークとは異なる、グアドループ独特の流れを作り出すことにもなったわけだ。
 元々表現力には定評があったタニヤだが、このゼニットで行われたライブレコーディングは予想を遥かに上回る内容で、圧倒されるほど彼女の魅力が満載だ。
 「タニヤ!タニヤ!」の歓声の中“SECRET”のオープニング。初期のムードあるズークラヴやタイトなズークが続き、ビッグ・ヒット“ZOUK A GOGO”。復活したズーク・マシーンの登場で一際歓声が高くなる。続く“LA GUADELOUPEENNE”は、かつてマラヴォワとのコラボレーションで実現した、しっとりとしたビギン・ナンバー。91年にリリースされた“SOUL ZOUK”からのヒット曲“TROPICAL”を挟み、同郷の女性ラッパー、レディ・ラスティの登場によるブラコン・ズーク。そして一転して熱い男デデ・サン=プリとの共演。デデが95年にリリースしたヒット・アルバムでタニヤがヴォーカルを担当したシュヴァル・ブワ・ナンバーである。アフリカン・ヒップホップ・シーンの人気グループ、ビソ・ナ・ビソも登場し男臭いラップを聞かせる。最後はレゲエのエッセンスが入った、ライトなポップ・チューンで締めくくる。懐かしいものから新しいもの。曲スタイルもバラエティに富み、演出も心憎い。
 ズーク自体それほど長い歴史を持っているわけでもなく、21歳の若さでデビューした彼女を考えると、ベテランと呼ぶには躊躇が必要だが、どんな曲にも対応してしまう歌唱力は貫禄だ。しかし、何とかDVDにはならないものか。(2001.11 SY)