HAÏTIAN TROUBADOURS

Haïtian Troubadours

2001 [Next Music/Sono CDS8922]
 バルバンクール・ラムの箱を思わせるような、ハイチらしい可愛いジャケット。ヘイシャン・トロバドール(アイチアン・トゥウォバドゥといったほうが雰囲気ですが)と名付けられたこのアルバムは、新世代のコンパ・バンド「ミジック・ミジック」の主要メンバーである、キーボードのファブリス・ルジエールと、ギターのクレマン・ベリザイールが中心となって、ハイチ/フレンチ・カリブの音楽シーンで活躍する、様々なミュージシャンたちが参加したプロジェクトである。そのコンセプトはハイチにエレクトリックなものが入ってくる以前に、バーやレストランで歌い演奏されたアコースティックな音楽を、現代的な解釈で再描写しようという試みにある。洗練を残したままコンパからメラングへ時代を遡行していくような感じだろうか。
 スウィート・ミッキー(ミチェル・マルテリー)、ゼングレンのグラシア・デルヴァ、カッサヴのジャコブ・デュヴァリュー、ジャッキート、ミジック・ミジックのエリック・シャルル、ベートヴァ・オバ、ロベルト・マルティノ、アラン・カヴェ他、売れっ子アーティストと彼らの持ち歌が披露されるわけだが、アコースティック・ギターやアコーディオンを主体に、打楽器も小物だけにとどめたアレンジは、かなり心地よい。素直にモダン・コンパをアコースティックに消化したものから、ジャマイカ臭のするものまで諸々で、このミジック・ミジックの二人の才能には、正直感服した。
 ニーズの重なるコンパとズークは互いに影響をしあってきたわけだけれど、ハイチ産のコンパの嵐が小アンティルの島々を覆った時代に、マルティニークやグアドループの連中が「我々の音楽を」という鬱積とともに、ズークをスパークさせたのと似たような気風を感じさせる。ヌーヴェル・ジェネラシオンという言葉を耳にして久しいが、ポップでお洒落でヘイシャン・オリジンを強く感じさせる、この新しい動きは、果たしてどういった風を巻き起こすのだろうか。(2002.03 SY)