SIN PALABRAS

Km 0

2002 [NAIVE 496691]
 フランス人が仕掛け人となって、キューバのミュージシャンとともに、クラブミュージックとキューバ音楽とを融合させるシーンに、近頃たびたび遭遇する。フランス系のカリブ音楽〈ズーク〉の世界では、打ち込み&タテノリという共通するエレメントが多いせいか、もはやハウス系のサウンドは定番と言っていいスタイルだけれど、総体的に有機質な音楽であるキューバ音楽のなかでは、まださほど多くない傾向だと思う。しかし、パリにおいてはフレンチ・カリブもキューバンも、ニーズや現場が多々共通することもあって、こうした流れは成り行きとして自然なものなのだろう。
 待望の3rdアルバム『Km 0』をリリースしたシン・パラブラスは、リヨンでFM局をやっていたジャン・クロード・グなる人物が、キューバに移住し制作したプロジェクト。音楽の性質上、若いミュージシャンばかりかと思っていたら、意外と知られた人物も参加している。主軸のエドゥアルド・ラサガは、チャランガ・アバネーラ初期のティンバレス奏者で、リトモ・オリエンタル創始者のエンリケ・ラサガの息子。ハバナで音楽講師を行っている、オルケスタ・シンフォニカ・ナシオナル・デ・クーバのホセ・エラディオ(per) や、かつてのゴンサロ・ルバルカバのレギュラー・ベーシストであり、日本にもオマール・ソーサなどでも来日しているフェリーペ・カブレラもレコーディングに参加している。ハヴィエル・マルケス(vo)、イリアン・ロペス(bata) らは、アビロナ・タンボール・ヨルバなど、サンテリア関連のレコーディングで目にする人物。コンフント・フォルクロリコ・ナシオナル・デ・クーバにも在籍していた(る?)ようだ。また若き紅一点のジャイミ・ライ(vo) は、キューバの至宝オルケスタ・アラゴンの創始者であるラファエル・ライの孫娘。ヒップホップ・グループ、オリシャスで鍵盤をたたくフリオ・フオントも本作に参加している。
 キューバン・パーカッション、キャッチーなコーラス、デジタルなビートとティンバ調のピアノが絡み合う。腰の入ったキューバン・リズムで一晩踊り明かしたなら、エレクトリカルなリズムに乗って歌われるサンテリア・ソングなんか、チルアウトとして打って付けなのではないだろうか。(2002.08 SY)