FEDERICO BRITOS

Candombe & Jazz

2002 [Metrix 824 650 201]
 カチャオ、ハンセル&ラウル、ハイシャンド…、チャーリー・ヘイデンのグラミー受賞アルバムなども記憶に新しい、南フロリダのサルサ/ラテンジャズ・シーンで幅広い活躍をする、マスター・ヴァイオリニスト、フェデリコ・ブリトスのリーダー作。交響楽団のコンサート・マスターとしても働く彼のソロ・アルバムは、タイトル通りプチ・ビックリのカンドンベ&ジャズ。カンドンベはフェデリコ・ブリトスの故郷ウルグアイの、祝祭儀礼を本来とするアフロ系リズム。これまでにも、ルベン・ラダやウーゴ・ファットルーソなど、カンドンベを独自のスタイルで表現してきた音楽家は存在するけれど、また新たな風合いを持ったカンドンベ/ラテンジャズの登場だ。
 レコーディングに参加する、ランセス・コロン(b)、ルベン・ヒメネス(dr)、エドウィン・ボニージャ(perc) の「やっぱりここはマイアミね」のリズム・セクションがラテン風味をまき散らし、それぞれに魅惑のソロも聞かせているが、張りつめた様子もなく気負いのないプレイに終始している。カンドンベの顔ともいうべき、コンガを丸っこくしたようなピアノ&チコ&レピーケの3台のカンドンベ・ドラムの叩き手は、フェデリコ・ブリトス同様モンテビデオ出身のギター/バンドネオン奏者、ニコ・モラのレコーディングにも出没しているメンバー。こちらもコンガのアンサンブルに馴染んだ耳には、なんとも可愛らしく聞こえてくる。
 ヒキダシの多さを物語るフレージングと、歌いさえずる様に奏でられる、フェデリコ・ブリトスのヴァイオリンの艶やかな音色は、ラテン、ジャズ、クラシックの広くて深い彼のスキルが発揮された、大きな賛嘆に値するもの。近年キューバン・カラーのユニット、ダンソン・バイ・シックスもスタートさせており、本作共に彼のバックグラウンドを考えると、遅すぎる感のあるリーダー作のリリースだけれど、大きな才能にスポットが当たり始めたことは素直に嬉しい限りだ。
 長閑なサウンドに様々な色が重ね加えられ、美しいコントラストを生んでいく。"Musica Para Un Cuadro (Music For a Painting)"。カンドンベをモチーフに数々の作品を残している同郷の画家、ダニエル・ポンテットの中ジャケットを飾るペイントも美しい。(2002.10 SY)