JUAN FORMELL Y LOS VAN VAN

En El Malecón De La Habana

2002 [CARAMBA CRACD-162]
 キューバ最高のダンスバンド、ロス・バン・バンの2002年に行われたハバナでのライヴ・レコーディング。ロス・バン・バンについては何をいまさら!という感じだけれど、改めて聴くとやはりこのグループの凄さが伝わってくる。「ずいぶん変わってしまった」「もうティンバ・バンドだね」などという声も耳にするけれど、そこいらのティンバ系グループなんかとは併記すら許されないほど、完成度を極めている。
 前作との間に、歌手のペドリート・カルボ、ピアノのセサル“プピ”ペドロソという主要メンバーが相次いで脱退をしたけれど、リーダーであるファン・フォルメルの創り出すビートルズ・ライクなメロディに乗る、トロンバンガ(ホーンがトロンボーンのみ)&チャランガ(ヴァイオリンやフルートを擁する)の抜群のアンサンブルは、益々磨きを上げているようだ。曲は『
¡AY DIOS, AMPARAME!』『TE PONE LA CABEZA MALA』『LLEGO... VAN VAN』などの90年代後半の近作からが主。ライヴらしいアレンジが施され、60を過ぎ健康状態も心配されていながらもファン・フォルメルの豊かな着想は、また新たな何かを得たように新鮮さに満ちている。
 ウェザー・リポートのヒット曲を引用した「TIM-POP」は既にファンには馴染みある曲だけれど、繊細なイメージだったマジート・リベーラの声もずいぶん逞しさを増しているのには驚いた。このキャッチーな曲で、すでにオープニングから引き込まれてしまう。
 また、ペドリート・カルボにちょっと似た、マッチョな声のロベルト・エルナンデスが歌う「ESTO TE PONE LA CABEZA MALA」もサムエル・フォルメルのドラミング・センスの良さが際だって印象的。ライヴでお馴染みの、ステージと聴衆が頭に手をかざすコミカルな振付が目に浮かぶ。
 新加入の若手アブデル・ラサルプス(?アラブ系みたいな名前だな)が歌う「QUE COSAS TIENE LA VIDA」は、脱退したセサル“プピ”ペドロソの作曲。この曲はプピが新たに旗揚げしたロス・ケ・ソン・ソンのアルバムのタイトル曲として、彼らのアルバムにも収録されている。同時期リリースのこの2パターンを聴き比べてみるのも面白い。
 もうひとり新加入のジェニセル・バルデス。ロス・バン・バンに女性歌手の声が加わるのを聞くのは初めてなので違和感を感じてしまうが、このあたりはこっちが慣れてないだけの話で、さすが既にNGラ・バンダなどでもキャリアを積んでいるだけあって、歌いっぷりは堂々としたものだ。今後のロス・バン・バンの展開に、彼女がどういった新しいテイストを加えていくのか楽しみである。
 横綱ロス・バン・バンを前にしては、最近の無味乾燥なティンバ・グループなどは、ケツをまくって勉強し直してくるしかありません。(2003.02 SY)