EL NEGRO & ROBBY

Onto The Street
-Still At The Third World War-


2003 [east works ewcd-2001]
 単に「ラテンやジャズが好き」という音楽ファンだけではなく、オラシオ“エル・ネグロ”エルナンデスとロビー・アミーンによる、二人のドラミング・アイデアにニンマリしてしまうドラム小僧も多いに違いない、エル・ネグロ&ロビーの第2弾。前作ではシオマラ・ラウガー、オルランド・プンティージャ・リオスという、アフロ・キューバ色の強いボーカルが個性を光らせていたけれど、今回はインナソウル、デニス・デ・ラ・クルスという、ラテン好きには馴染みの薄い若いシンガーの参加によって、全体的な雰囲気もよりニューヨーク・ローカルというか、アスファルト臭が強められているのではないだろうか。
 このエル・ネグロ&ロビーのユニットは、単純に高い技術を持った演り手では、代用の効かないバンドサウンドにも面白さがある。
 昨年の来日時のライヴでは、西海岸で主に活動をしているヘスス・ディアスが、レコーディングのペドロ・マルティネスに代わって、歌/コンガを担当していたが、芸達者なペドロ・マルティネスとラテン・オールマイティなヘスス・ディアスとは、特にストレートなルンバなんかでは大きなテイストの違いが出るはず。また、このパーカッシヴなサウンドに独特な浮遊感や不安感を与えているジョン・ビーズリーのキーボードは、彼の豊富なセッションの経験が生みだしているものだろうし、外へと拡散していく音の粒を束ねるような役割を担うべく、うねりを生み出しながらもどっしりと安心感のあるベースも、イラケレ〜クバニスモといったアフロ・キューバン・ジャズの中心的なフィールドで働いてきた、カルロス・デル・プエルトならではのもの。いたってジャズなのにどうにもラテンなブライアン・リンチのトランペットも大きな存在だ。こうしたミュージシャンの個性が生みだす「組み合わせの妙」も聞き逃せない魅力なのである。
 ゲストで参加する、ロックにトゥンバオを持ち込む男マーク・キニョーネスと、ティンバライエのリーダーであるラルフ・イリサリー、また異なるトラックで手数の多いキントを叩くリッチー・フローレス、それぞれにサルサ界ではよく知られているミュージシャンだけれど、とことんテンションを高めてくれる彼らのプレイには相変わらず耳を引き寄せられる。
 また、アルバム中最も「らしさ」を感じるのが「En 4」というトラック。前作にある「3 for Africa」同様、SMチックなリズム。今度は変拍子のソン・モントゥーノ。変態っぽいですが好きです。
 ピンクフロイド「Money」のサルサ・アレンジなども、アルバムのハイライトのひとつ。
 時に小気味よく時にハードなパンチを効かせながら繰り出されるドラミングを軸に、アフロキューバン、ロック、ヒップホップ、ジャズ…と様々な要素が混じり合った彼らの音楽。重厚な8ビートと共に聞こえる「ティンバティンバレ…」の呪文が聞こえてきたなら、そこはもう引き返すことなどできない音の迷路の入り口なのである。(2003.07 SY)