AFRICANDO

Martina

2003 [Stern's 1096]
 西アフリカの優れたシンガーソングライターたちと、オーセンティックなニューヨーク・サルサ直球サウンドのコラボレーション。敏腕プロデューサー、イブラヒマ・シラのアイデアも実を結んできたらしく、近年アフリカンドへの注目度は高まる一方だ。「実力は確かなんだからもっとアフリカのテイストが強くても」あるいは「いや、そーゆーのはバオバブやパペ・フォールらに任せておけば」と評価も二分する感じだけれど、10年も頑なにコンセプトを貫いているんだから、個人的な意見としては後者の方。
 さて、アフリカンドらしい典型的なチャランガがオープニングを飾る今回の『Martina』。60年代のムードラテンにありそうなジャケットがグー。「アフリカン・ビューティ+シガー=セネガル・ミーツ・キューバ」はとても分かりやすいです。
 ベテランのエクトル・カサノバや、コロとしても引っぱりだこのジョー・キングら、ニューヨーク側のシンガーたちの声も聞き所だけど、何といってもセネガルのスター、イスマエル・ローのゲスト参加が目玉。彼が歌う「LOTE LO」は、86年のイスマエルのソロアルバムに収録されているものがオリジナルで、この流麗なバイオリン・アンサンブルが入ったグアグアンコーは、彼の創り出す美しいメロディや歌声を、一層のものに引き上げてくれているのではないだろうか。
 近年のアフリカンドのレギュラー歌手である、元ベンベヤ・ジャズのセクーバ・バンビーノがギニアのスースー語(といえばオスマン・サンコンさんですね)で歌う「TEMEDI」も耳を捕らえるトラック。ブリブリのバリトンサックスから「あ〜おたん」の声、いかにもなジョー・キングのコロへとつながるイントロ、そしてセクーバ・バンビーノの強靱なノドと独特の節回し。強烈です。
 また元バオバブのメドーン・ディアーロも負けじと劣らずの個性派。いかりや長介にちょっと似た面もちと長身からは、想像できない若くカン高い声。ブルキナファソのアマドゥ・バラケやベナンのニョンナス・ペドロ、タブー・コンボ(ハイチ)のシューブーあたりの魅力は、なかなかレコーディングだけでは伝わり難いが、アフリカンドはライヴDVD(2002年 Next Music/ Sono)もリリースしているので、是非そちらもチェックしていただきたい。彼らが何故そんなに人気があるのか、一目瞭然の味わいあるパフォーマンスが繰り広げられる。
 最終トラックのロニー・バロの歌う「EL QUE TE AMA SIEMPRE」はしっくりきちゃいますね。レギュラー歌手陣唯一のスペイン語の使い手。キューバ系でしたか。
 バオバブとアフリカンドの躍進が、パペ・フォール、シュペール・ケイヨールら、アフリカン・ラテンへの良い刺激になっていることは確かだけれど、この地域が新たな個性ある「サルサの都」として名をとどろかす日もそんなに遠くはないのでは? 天国のパペ・セックは何を想って現在のアフリカンドを見ているだろうか…。(2003.07 SY)