LAS ESTRELLAS COBO

Heavy Duty

2003 [Cobo 9054]
 アレグレ・オールスターズ、ティコ・オールスターズ、ファニア・オールスターズ…。スター・ミュージシャンたちによるデスカルガ(ジャムセッション)・アルバムは、聴く側にとってエキサイティングであることはもちろんのこと、現場にとっても既に磨かれた自己のキャリアに、更なるスキルやイマジネーションを蓄える場所として、とても刺激のある貴重な演奏の場。マニー・オケンド(timbales)、チョコラーテ・アルメンテロス(tp)、J.P.トーレス(tb)、アンディ・ゴンサレス(b)、ホセ・マングアルJr.(bongo)、エディ・モンタルボ(conga)、オルランド・マリン(timbales) …らが集う、このエストレージャス・コボ(元エストレージャス・カイマン)もまた然り。ディレクションはアルフレッド・バルデスJr. で、彼もまたカチャオの『マスター・セッションズ』を含む数々のデスカルガの現場で手腕をふるってきた、顔の広いピアニスト/アレンジャーだ。
 ジミー・サバテール(ジョー・クーバ他)、ホルヘ・マルドナド(チャランガ・アメリカ他)、アダ・チャブリエ(ラテン・フィーバー他)ら、ニューヨークらしいシブい歌い手たちの存在もさることながら、開いてふさがらない口にヨダレの追い打ちをかけるべく、プピ・レガレッタとアルフレッド・デ・ラ・フェ。在りし日のニューヨーク・チャランガ・シーンの顔とも言える二人のバイオリニストの顔合わせは、ファンとしては感涙モノ。両耳共々感謝しております。
 曲のほとんどはキューバ新旧の楽曲で、オープニングのレベ・イ・ス・チャランゴンの曲や、ニコ・サキートのクンビア・ナンバーに代表されるように、原曲ほどのアクはないにしても、さすがはセプテート・ナシオナルのアルフレッド・バルデスの息子さん、血筋の良さが表れているのか折り目の正しい美しく柔和なアレンジ。キューバ音楽の美味しい素材を持ってきて、ニューヨーク・スタイルの味付けで調理。その風貌からは腕の優れた料理人というよりも、美味しいものを知り尽くし客に至福のひとときを提供する、身のこなしのエレガントなベテラン・ソムリエと言ったほうが当てはまるか。
 チョコラーテ、マニー・オケンド、プピ…まだまだ元気な大ベテランの健在ぶりを聴けば、このところ続いた先達たちの他界による暗いニュースで落ち込んだラテン音楽ファンも、少しは元気を取り戻せるのではないだろうか。夏空の入道雲の彼方の“チョンボ”シルヴァ、ジャジョ“エル・インディオ”、ティト・プエンテ、ルイ・ラミレス、ファンシート・トーレス…。彼らの間で話題になっているかもね、このアルバム。(2003.08 SY)