V.A.

Salsa Around The World

2003 [Putumayo World Music 213]
 ジャケットのイラストが可愛い、ワールド・ミュージックのコンピレーションCDでお馴染みのプテュマヨ・レーベル。今回のラテンものは非ラテン・エリアのサルサ。珍味好きが飛びつきそうです。といっても、お国柄を示すようなキャッチーな選曲はされておらず、あくまでアーティストの個性を重視した選曲。選び手の音楽に対する敬意が表れていて気分がいい。
 スコットランドのサルサ・セルティカ、日本のデラルス、ハイチ/マイアミのハイシャンド、あるいはジャズ界でよく知られるカメルーン出身のリチャード・ボナといった、既に世界的な評価を得ているアーティストたちの他、レコーディングを探すのに困難を要するアーティストも多く、そのあたりのピックアップは何よりもありがたい。
 オープニング・チューンは、ヴァイオリンの旋律が印象的なサルサ・セルティカの曲。セルティカのトレードマークであるバグパイプの音は聞こえてはこないけれど、彼ららしいハイテンションの力強い演奏は十分に楽しめる、ついステップを踏みたくなるようなチャチャチャ。UKサルサ・シーンで活躍するベネズエラ出身のリノ・ロチャのボーカルが、とにかく素晴らしい。
 新生ペレス・プラード楽団がキューバで旗揚げし、現在は現地イタリアとキューバの混成グループとして活動するハバナ・マンボ。サルサが盛んとはいえ、なかなか現地の音を聴く機会の少ないキュラソー島からは、パピアメント語の歌が印象的なアルネル・イ・ス・オルケスタ。いずれも個性派。
 ギリシャのアプリマックは気になるグループです。ペルーの川の名に由来するグループ名。ギリシャ、ペルーの民俗的なエッセンスを微妙に残しつつも、洗練されたアンサンブル。これは要チェック。
 バオバブやアフリカンドの活躍のおかげもあって、現在のサルサのホットスポットのひとつとなったセネガルからは、トゥレ・クンダとババカル・イ・サボール・インターナシオナル。トゥレ・クンダは色々やりますね。芸達者。昔サザン・オールスターズと共演しに日本に来てました。ババカルのほうは典型的なチャランガ・アンサンブル。曲を書いたのはマラヴォワのヴァイオリン奏者、ジャン=リュック・ピノのようだ。
 モロッコ出身のムスタ・ラルゴはベルギーのワールドミュージック・シーンではよく知られた存在らしい。この曲ではそれほどアラビックな感じはしないけれど、シーンによってはフラメンコ風味もあったりして、雑食性の強い彼の嗜好が表れている。
 ヒンディ・ソング界のアイドル、シャーンもラテンを歌います。サンタナ調のギターが入った「OYE COMO VA」っぽい曲だけれど、やっぱりカレー味になります。それからデラルスは楽曲の古さを感じるけれど、アルバム中唯一のプエルトリカン・リズム“ボンバ”です。ニューヨークでブレイクしたデラルスらしい曲ということかな。
 アルバムごとにラテン作品を一つ二つ挟んだりするリチャード・ボナ。ニューヨークで活動していることもあって、本場の慣れたミュージシャンが参加している。派手目のティンバレスは売れっ子パーカッショニストのルイシート・キンテーロ。
 クラシック・キューバンを歌い演奏するのは、フィンランドのエル・セプテート。キャリアもそこそこあるので、キューバ人でないことが分からないほど慣れた演奏でストレートなソンを披露してくれる。
 そしてラストを締めくくるのはハイシャンド。マイアミのラテン・ミュージシャンとハイチの歌手たち。ウルグアイ出身のフェデリコ・ブリトスによる艶のあるヴァイオリンの音色が美しい。(2003.08 SY)