TRUCO & ZAPEROKO

Musica Univesal

2003 [Libertad LE03-826]
 プエルトリコの大所帯グループ、トルーコ&サペローコ。プレーナを中心とするトラッドなプエルトリカン・リズムを叩き出す、エクトル・バレンティン(pandereta) のトルーコ。元来ソンゴなどのキューバン・リズムを看板としていた、エドウィン・フェリシアーノ(tb) が率いるサペローコ。二つのバンドのコラボレーションによるプロジェクトなんだから、大所帯になるのも当たり前。
 そのトルーコ&サペローコの名義としては2枚目にあたるこの『MUSICA UNIVERSAL』。ベテランらしい演奏力による骨太・肉厚・高カロリーなプレーナは、1999年リリースの前作『FUSION CARIBE
ÑA』によって確認済みだったとはいえ、またしてもオープニングからノックダウンを食らってしまった。トルーコ&サペローコらしい、ルンバ&プレーナ。グァグァンコーからプレーナへの意表を突くシーン展開もさることながら、同時に投入されるプエルトリコきっての個性派サルセーロ、ルイシート・カリオンのコロ(コーラス)が大正解。のけぞります。また、ラモン・ロドリゲス&344のジョバンニ・ルーゴと共にこの曲を歌うリチャード・マルティネスというシンガーも、今回初めてのお目見えだけれど、これまた優れた人材の起用。プエルトリコには歌の上手い歌手が本当に多い。
 今回キューバのパンチョ・アマートの近作カバーを含め、サルサ・アレンジが多いような気がするけれど、その中でユニークなのが「ME FACINA」という、ソンゴのニュアンスを散りばめたトラック。すぐにヒルベルト・サンタ・ローサの顔が頭に浮かんでしまったが、考えてみればこのトルーコ&サペローコで鍵盤を叩いているのが、ヒルベルト・サンタ・ローサを始めとするプエルトリコのサルサ〜ラテンジャズ・シーンを代表する名アレンジャー、ホセ・M・ルーゴなのであった。
 カリブ海にはタンバリンのようなハンド・ドラムを用いる音楽が各地に存在する。プエルトリコのプレーナはその中でもポピュラー音楽シーンに導入されながら、最も様々な展開を期待させる音楽である。そのプレーナの発展型を提供してくれるトルーコ&サペローコにもたらす〈洗練〉が、まさにホセ・M・ルーゴの功績であったり、バンドにおける彼のポジションそのものだったりするのだろう。
 2004年には同レーベルからサペローコ単独のアルバムが久しぶりにお目見えする予定だという。ジャズタッチのサルサが予想されるわけだけれど、磨かれたセンスと強い腕っぷしがあるのだから、ローカルシーンに留まらず、時代を突き抜けるようなクリエイティビティと共に、世界の檜舞台でフラッグを掲げて欲しい。でも、そのためにはやっぱりトルーコのパンデレータが欲しいんだけどなあ…。(2003.11 SY)