GREG RIBOT

Cumbia y Mas

2004 [Greg Ribot GRCD47]
 グレッグ・リボー(sax, cl, fl, siku) の3作目は、クンビアを中心にアフロ・カリビアン〜南米大陸の様々なリズムを取り入れた、果たしてラテンジャズと言って良いのか分からない、クラブ・ラウンジ好みのラテンジャズ。兄さんは「偽キューバ人たち」でラテン音楽ファンに知られているマーク・リボー。兄貴同様のフェイク感。申し分のないほどユルユル&ヘタウマで、50〜60年代のカリプソのようなエキゾチックな風味もあって、油断してたらハマりました。
 ところがこの摩訶不思議な音を出しているミュージシャンたちは意外にも正統派の腕利きばかりで、特にドラム/パーカッションのビンス・チェリコはレイ・バレットのニュー・ワールド・スピリットのメンバーとして、またクリス・ウォシュバーン、スティーヴ・クルーン、レイ・ベガなど、新旧の様々なレコーディングに顔を見せている、ニューヨークのラテンジャズ・シーンを代表するトップ・ドラマーなのである。今回のレコーディングで「こんなことも演るのか」と、あらためてヒキダシの多さとアイデアマンぶりを思い知ってしまった。
 またギターのフランシスコ・ナバロは、ホセ・アルベルト“エル・カナリオ”、ティト・ニエベス、フランキー・ネグロンなどの人気サルサ歌手のレコーディングで、よく流麗なスペイン風味のギターを披露している人物。ランチェラから突入してきたのでメキシコ出身かと思っていたら、アルゼンチン出身ということが今回判明。さらにもう一人ベースのアンディ・ユーラウにしても、ラテン方面での知名度は薄いかもしれないけれど、アンソニー・ブラクストンを筆頭に、おびただしい数のジャズのレコーディング&ツアーに参加しているセッション・プレーヤーだ。
 この他、前述のマーク・リボー(g) とグルーブ・コレクティブの創始者として知られるビル・ウェア(vib) の二人がゲスト参加。以前にビル・ウェア名義でエリントン作品集をリリースした、クラブ・ジャズ界の好相性コンビである。
 クンビアとジャズというと、チャーリー・ミンガス「Cumbia & Jazz Fusion」をたいがいのジャズ・ファンは思い起こすだろうし、コロンビア音楽のファンであれば、ロス・ディプロマティコスのサックスや、偉大なるルチョ・ベルムデスのオルケスタが頭に浮かぶかもしれない。しかしこのような少人数のアンサンブルによる、リラックス・ムードのクンビアの登場は全く新しい出来事。ジャケットのイラストはアダムとイブだろうか。まさに智恵と誘惑を象徴する「禁断の木の実」のようなサウンド。ちっくしょう、こういうところでヤラれるとは思わなかったなあ。(2004.1 SY)