RICKY GONZALEZ

Oasis

2004 [Rumba Jams 1017]
 とにかく忙しくて作れないんだ──5年ほど前のことだったと思うが、リッキー・ゴンサレスに自身のアルバム制作について尋ねたときの答えだが、ようやくのCDである。「普段の仕事がサルサだから、プライベートではリラックスするためにあまり聴いていない」と当時述べていたので、少しサルサと距離を置いたアルバムと思っていたが、やっぱりサルサ。マーティン・アロージョの死によるソネーロス・デル・バリオの引き継ぎ、と同時にニューヨーク・サルサの事情も当時とは異なるので、やはり彼の周囲を取り巻くニーズはここにあるわけだ。
 で、アルバムはと言えば、何といっても彼のカオの広さを物語る物凄いゲスト陣に驚かされる。御大ジミー・サバテールやレイ・ビエラ、エルマン・オリベーラ、フランキー・バスケスといったオールドスクール好きには馴染みのカンタンテ。リッキー・ゴンサレスのかつてのバンマスであるレイ・バレットや、デイヴ・バレンティンらジャズ系の大物。マーク・キニョーネス、ルイシート・キンテーロ、ジョージ・デルガドらシーンを代表するトップ・パーカッショニストたち。
 聴き所といえば、アレハンドロ・サンツ、ファネス、ボビー・コールドウェル(「What You Won't Do For Love」この曲よくサルサ化されます)らのカバー曲をリッキー・ゴンサレス本人が歌っていること。コロでは幾度となく聞いていたが、リードボーカルというのはちょっと意外な感じだ。
 「Quisqueya Tiene Salsa」というオリジナルでは、タイトル通りジョニー・パチェーコ大師匠、ホセ・アルベルトらニューヨーク・サルサ界のドミニカン・タレントを迎える。個人的にはリッキー・ゴンサレスが多くのアレンジを手掛けたラウリンに登場してほしかったのだけど…。
 また、サルサ永遠の名曲「Timbalero」(日本のデルソルで知っている方も多いのでは?)ではオレステス・ビラトーが登場。ルイシート・キンテーロと繰り広げるティンバル・ソロは圧巻だ。
 さらにデイヴ・バレンティンを迎えてのインスト・チューンは、ティト・プエンテとルイ・ラミレスへ捧ぐということもあって、リッキー・ゴンサレスはヴァイブを担当。このあたりの趣向もこのアルバムあってこそ。
 ソネーロス・デル・バリオやクライアントの仕事では、ひたすら〈踊れるサルサ〉を提供することに徹していた感があるが、自己のアルバムではさすがにクリエーターとしてのアイデアが随所に現れている。ニューヨークの現在を感じさせるアレンジの中、ラッパー“フレスコ”の仕事が効いている。(2004.9 SY)