KASSAV'

Ktoz

2004 [ZOUK SARL / UP MUSIC 8345110832]
 ズークのオリジネーター、カッサヴ2004年の新譜。一人、二人、三人…数は合っているのに何かジャケットのメンバーがおかしいなあ…。そう、驚くべきことに右手前キャップをかぶった男をよく見ると、かつてのオリジナルメンバーだったベーシストのジョルジュ・デシムスぢゃありませんか!以前メンバー紅一点のジョセリーヌ・ベロアールから、ジョルジュが脱退した理由について「本当のことは解らないけど、フロントで頑張っていくことに疲れたんじゃないかしら」と伺っていたが、実に13年ぶりのカムバック。ということは…やっぱり!ちゃんとカッサヴ創立者ピエール・エドゥアール・デシムスも数曲プログラミングに参加、デシムス兄弟揃って戻ってきたわけです。これからもメンバーとしてやっていくのかな?でもって、いなくなったのはシンガー陣唯一のグアドループ出身者パトリック・サント・エロワでした。「家庭の事情で」ということになっています。
 ファンキーなホーンを特徴とするカッサヴならではの重厚なズーク・ベトンは相変わらず。もちろん打ち込みなどの洗練度は当時のものとは比較にはならないのだけれど、ズーク草創期の勢いあるタイトなビートに戻した感のあるサウンド。ズーク・ラヴ、ズークR'n'Bといったメロウなものが長年に渡ってシーンの中心に頓挫し、バンドスタイルの快活なズーク・サウンドが萎んでしまっているのは事実で、カッサヴが再度新たにこうした方向性を示したことはありがたいことだ。
 パッシ(ビソ・ナ・ビソ)、ジャン・ピエール・コクレル(アキヨ)、レディ・スウィーティらはゲスト歌手のハイライトかと思うが、ズーク界ではベテランといえるだろうタチアナ・ミアスの耳あたりの心地よいフェミニンな歌声、曲制作の関わりにおいても、目立たなくとも重要な役割を果たしているといえるだろう。マルチニーク・ジャズ・シーンのピアニスト、ロナルド・テュール、あるいはドミニカ共和国の伝統派パーカッショニスト、チチ・ペラルタといった興味深い名前も見つけることができる。
 ジャン・クロード・ネムロによる「Nou Ped Chimen」、ジャン・フィリップ・マルテリーによる「Léron」などは、ズークにあってもマルチニーク伝統色の強いビギンやマズルカが土台となったトラック。このあたりもマルチニーク音楽のファンにとって耳が惹かれる部分。抜かりはナシということ。
 2005年2月4〜6日にかけてゼニット(パリ)で大がかりなライヴを行うようで、多分DVDリリースなども予想されるが、更なるカッサヴ(というよりもズークそのもの)の躍進を目の当たりにできることを期待したい。(2004.10 SY)