SLAÏ

Florilège

2005 [Sony Music Entertainment (France) 519075]
 現在フレンチ・カリブの音楽シーンで最もブレイクしている男、スライ。グアドループ出身者らしい、R&Bテイストの強い洗練されたズーク・ラヴを看板とするシンガー・ソングライターだ。前作のセカンド・アルバムのヒットによって一気に知名度を上げ、もはやズーク界のトップアーティストにまで上り詰めたが、その勢いはまだまだ止まらず、このアルバムに収録された「Flamme」の先行シングルは、フランコディフのデータ(※フランス語圏アーティストによる音楽普及のためのプロモーションをサポートする組織“Francophonie Diffusion”が、世界90カ国150のラジオステーションのネットワークを活かし、ローテーション具合を集計したもの)で少なくとも4位にチャート・イン、この1月に授賞式が行われたばかりの、フランスではグラミー同様に影響力の大きいNRJミュージック・アウォード2005でも、惜しくも受賞を逃したもののノミネートを果たしている。
 このアルバムに収録されたすべての楽曲は本人オリジナルによるもので、さすがに売れているだけあって耳に残りやすいメロディーが並ぶ。打ち込みが中心となるこのテのサウンドも、余分なエフェクトを省いた分、人力となるギターやドラムも活かされ、少数精鋭ながらチープさや無機質さはまったく感じさせていない。このバランス感覚がスライによるものなのか、陰なるヒットメーカーであるギ・ボルデーによるものなのか、プログラマーによるものなのかは分からないが、抜群のセンスの良さを感じさせることは間違いない。
 前述の「Flamme」とともにヒットを飛ばした「La Dernière Danse」の他、正体不明のラッパーをフィーチャーした「Mizik」や、ひときわ甘いメロディーを持つ「Ce Soir Ou Jamais」あたりも個人的なお気に入り。
 強烈なインパクトを持ったアルバムではないけれど、歌手として、作詞作曲家としてのスライのレベルの高さが十分に伝わる内容。メジャー・シーンへの巣立ちとなる作品としては、最良なものに仕上がっているのではないだろうか。今後の活躍にも注目していきたい。(2005.2 SY)