YERBA BUENA

Island Life

2005 [Razor & Tie 7930182942]
 アーバン・トロピカル・ミクスチャーといっても、比較的キューバの有機的なサウンドが前面に現れていたデビュー作となる前作『President Alien』。よりマルチ・カルチャーぶりが拡大した感のある今回のイエルバ・ブエナのセカンドは、それが敏腕キューバ人ディレクターのデスセメール・ブエノが抜けた影響からかどうかは分からないのだけれど、ヒップホップ、ブガルー、ファンク、アフロキューバンと、ベーシックな部分は一致するにせよ、クンビア(といってもメキシコ風味)やヒターノ、アラビックなどの要素が多く加わり、場末の様相を見せるようになってきた。
 ジャケットの中の写真を見ると一見メンバーにも変化があるように見えるが、何のことはない、トランペッターからベーシストへと写真が変わっただけのこと。ベネズエラのバンマス(アンドレス・レビン)&キューバの声(シオラマ・ラウガー、ペドロ・マルティネス、クク・ディアマンテス、エル・チーノ)&セント・トーマスのホーン(ロン・ブレイク、ラシャウン・ロス)&USのベース(セバスチャン・スタインバーグ)といった主軸は変わっていない。また、アンディ・ゴンサレス、ブライアン・リンチ、コンラッド・ハーウィグ、ジョスバニー・テリーといったNYラテン〜ジャズ界のサポートも前作同様。
 しかし彼らだけでも豪華な面子といえるのにも拘わらず、このゲストの顔ぶれはいったい何なのだろう?
 俳優アジェイ・ナイデュの口上に始まり、ブラジルのブロコ、イレ・アイェが加わるクンビア。セリア・クルースの「アスーカー!」をサンプリングした曲には、俳優ジョン・レグイサモとフレンチR&Bデュオ、レ・ヌビアンの姉妹。「belly dancer」とベタなタイトルが付いた中東旋律+イスパニョーラ島リズムには、メレンハウスのフラニート。ロス・バン・バンのヒット曲のフレーズを押し込んだ曲には、キューバン・ヒップホップのオリシャスのメンバー。また、フラメンコにはお馴染みディエゴ“エル・シガーラ”、ブガルーにはどこから探してきたかジョー・バターン(!)といった、最上級の客人。10曲目の「Bla Bla Bla」が最も前作踏襲型だろうか、アルフレッド・デ・ラ・フェのバイオリン・ソロ、ブライアン・リンチ、コンラッド・ハーウィグのtp/tbの掛け合いが光るソンには、ジョージ・ブッシュがサンプリングされている。ジプシー・パンクのゴーゴル・ボルデーロや、ジャマイカン・ラップのデッド・プレズ、シオラマの息子のアクセル・トスカ・ラウガー…。
 うっかりゲストにばかり目を奪われがちだが、シオマラ・ラウガーのベルベット・タッチの歌声、セバスチャン・スタインバーグのドライヴ感あるカッコいいベース、ペドロ・マルティネスの多芸なパフォーマンス。こうしたオリジナルメンバーの技量には、相変わらず唸らされる。
 アイランド・ライフ――想いは島に馳せても、音の楽園は人種のるつぼに生まれてたのだ。(2005.8 SY)