DESCEMER BUENO

Siete Rayo

2005 [Universal B0005160]
 デスセメール・ブエノ名義では初となるリリース。かねてからのプロジェクト「シエテ・ラヨス」そのままのタイトルとなったファースト・レコーディングは、エレクトリック・ファンク〜ヒップホップをベースにキューバのエッセンスを濃度高く染み渡らせた、予想通りのハイブリッドなミクスチャー・サウンド。クンビア・キングス、ブラック・アイド・ピーズ、パフ・ダディらの仕事に携わる、様々なクリエイターが関わっているようだ。
 デスセメールといえば、元イエルバ・ブエナ、あるいは初来日間近のジューサのセカンド・アルバムのプロデュースなどが、よく知られている。その他キューバ在住時代には、エスタード・デ・アニモのメンバーとして、あるいはヨスバニー・テリー(sax)、ロベルト・カルカセス(p)、ダフニス・プリエト(dr) といった錚々たるメンバーが集ったジャズコンボ、コルムナBのオリジナルメンバーとしても活躍。Xアルフォンソ、ヘマ・イ・パベル、チリ人女性アーティストのニコレなどでも、歌い手、ベース奏者、タブラ奏者として、NY移住後もマルチな才能を発揮している。
 今回のソロCDも、これまでの仕事のコネクションを活かし、ジューサのレコーディングにも参加していた、エリ・カッツ(dr/prg) やマジリー・アルバレス(vo) の他、前述のヨスバニー・テリー、ロベルト・カルカセス、パベル・ウルキサ(ヘマ・イ・パベル)の名前がクレジットされていて、アーメッド・バローソ(g)、フリオ・パドロン(tp) ら売れっ子ミュージシャン、さらにオリシャスやアマウリー・グティエレスなどのゲスト参加もあり、新世紀に入ってうねり始めたキューバ音楽の新しい音楽家たちによる潮流の中で、デスセメール・ブエノがキーマンの一人として、いかに注目すべき存在であるかが覗える。
 それにつけてもひとつ驚きなのは、オールド・ソウル/ファンクの代表格である、アース・ウインド&ファイヤーのディレクター/メンバーである、マイロン・マッキンリーを引っ張り込んだ点。デスセメールのアメリカン・ソウルミュージックへの深い愛情が感じられる。
 デスセメールが抜けたイエルバ・ブエナが、ジョークに富んだアルバムをリリースした後なので、余計に感じてしまうのかもしれないが、彼の生真面目なトラディショナリストぶりも随所に現れているのではないだろうか。例えば、クンビアとレゲエ/スカの組み合わせは、ラテン・ミクスチャーの定番と言って良いくらい、様々なアーティストによってアプローチが行われているが、新しいことをやっている割には伝統的なニュアンスを、彼の作品に強く汲み取ることができるのだ。
 未来型ラテン音楽として、以前から評価のあるアーティストだが、アルバムリリースを契機に、どうにも目が離せなくなってきた。(2005.10 SY)