GUACO

El Sonido De Venezuela

2005 [Latin World 0334]
 グアコの2005年リリース盤。1970〜80年代の彼らのビニール盤を思わせる、グアコマークどーん!のジャケットデザインだ。
 前作『Galopando』の発表直後、彼らは20代前半の4人の若い歌手を投入したが、その中からロナルド・ボルハスだけが残り、グスタボ・アグアド、ルイス・フェルナンド・ボルハスと合わせた3人によるフロントということで、本作の制作に当たったようだ。ちなみにロナルドは、ルイス・フェルナンドの従弟であり、前々作『Equilibrio』のタイトル曲を書いた、人気ガイタ楽団“グラン・コキバコア”のリーダー、ネギート・ボルハスの甥っ子にあたる。
 また、演奏側にも入れ替えがあり、長年働いてきたドラムのフェルナンド・バジャダレスが抜けたことが寂しいが、新加入のドラマーもフェルナンド同様のキレ具合を感じさせるので、まずひと安心といったところ。他にピアノ、ギター、コンガ、ボンゴにも変動があるが、ベネズエラのポピュラーミュージック・シーンの多くのレコーディングに参加してきた、経験豊かなミュージシャンばかりだ。
 さて、キューバ人作家の名前が見受けられるものの、今回も前作通りホセ・アントニオ・キニョーネス、ナノ・シルバらによる楽曲が並んび、ジャズファンクを基調に、サルサやガイタ・デ・タンボーラなどを16ビートに乗せてポップに仕上げた、近年のグアコらしいサウンドを踏襲。アルバムタイトル通りベネズエラン・サウンドをより強調した内容になっている。
 トラック#5「Suena A Venezuela」あたりは、スリアの伝統を感じさせるコーラスワークで、サルサの要素を抜き差ししながら、ファンクのグルーヴ感で聴き手を踊らせる、まさにグアコのテーマソングのような仕上がり。この曲でクアトロを弾いているラファエル・ブリトは、トローバ・ガイテーラ、パベロン・シン・バランダなどのメンバーであり、サウル・ベラのアンサンブルやウアスカル・バラーダスのレコーディングなど、ガイタ/弦楽アンサンブル〜ベネズエラン・ジャズ等のフィールドで八面六臂の活躍をしている、今最も売れている若手クアトロ奏者だ。抜かりのない客人。
 ついでにもう一人ゲストに触れると、#7「A Quema Ropa」の作曲家であり、グスタボ・アグアドとともに、ロックなボーカルを聴かせているのは、英国でのラテンロック開拓の功労者、ホルヘ・スピテリ。彼もベネズエラ出身で、グアコ同様40年ぐらいのキャリアを持つベテラン。パワフルなおやじ二人の掛け合いだ。
 2月だったか3月だったか、アルバムリリースの時点ではトラック#1「Pideme」がローカルチャートの上位にランクインされていたが、年が変わろうとする現在では、#4「Me Muero De Ganas」がトップに座っている。
 3世代に渡ってリスナーの尻を揺らす老舗となり、普通だったらベテランの円熟味が際だつところだが、ますます血気盛んな青さを感じさせるのが、とても素敵だ。“スーパーバンダ・デ・ベネスエラ”の快進撃はまだ当分衰えそうにない。(2005.12 SY)