CHUCHO VALDES

Cancionero Cubano

2005 [Egrem/Caramba CRACD-411]
 締め切り作業に追われ、徹夜なんかはあたりまえで、そのうち神経も血流もどうにかなってしまいそうな日々を送っている方も多いと思う。わずかながらも瞑想にいそしむことができるような、ふとした深夜のリラックスタイムは非常に貴重な時間で、そういったときのBGMには、ソロピアノに勝るものはない!と個人的に確信している。台場の夜景にジョージ・ウィンストンだって(TOKYO MX-TVです)ありがたいチャンネルだったりするのだ。
 ラテンジャズのフィールドでのソロピアノにも、例えばオマール・ソーサのスピリチュアルな作品、ミシェル・カミロのロマンティックな近作など、それぞれに個性を持ったアルバムがリリースされている。
 キューバの重鎮、チューチョ・バルデスもこの作品が初めてということでもないのだけれど、ありがたくもソロピアノをリリースしてくれた。アルバム・タイトルから理解できるように、エレーナ・ブルケ、ティト・ゴメス、ネロ・ソーサ、ペドロ・バルガス…といった、キューバの大歌手の名唱によって知られる、歌モノをテーマとしたアルバムだ。
 レクオナと並び国民的作曲家と称されるゴンサロ・ロイグの代表曲「キエレメ・ムーチョ」に始まり、フロリダで活躍するファニート・マルケスのオルケスタ・リベルシーデ時代の「アルマ・コン・アルマ」、フィーリン/ボレロ系の大作曲家であるセサル・ポルティージョ・デ・ラ・ルスの作品の数々。また、キューバのトローバ時代からの伝統的なメロディ・ラインを活かした、チューチョのオリジナル・コンポジション等々。静寂や激情──起伏豊かな“カンシオン・クバーナ”の世界を、チューチョならではの歌心によって具現している。
 エンディングのトラックは、なんかメドレーにするのが勿体ないくらいで、欲張りなようだけれど、いっそのこと2枚組にしてほしかったくらいの、さすがに深い懐をみせてくれている。
 極上のジャズ・ラウンジ。続編のリリース希望。(2006.2 SY)