LUISITO QUINTERO

Percussion Maddness

2006 [Vega Records/ Pony Canyon PCCY-01762]
 ルイシート・キンテーロのソロアルバムがリリースされた。それも国内大手がさばいているというのだから、不思議な感じだ。売れっ子パーカッショニストとはいえ、彼はサルサ〜ラテンジャズをメインとしている、日本においてはややニッチなフィールドでの裏方的なミュージシャンだからだ。やはりプロデューサーである、ルイ・ベガの名前は大きい。
 アルバムカバーのビジュアル・コンセプト/アートディレクションも、ルイ・ベガやアナネたち。エレメンツ・オブ・ライフ(以下EOL)のサウンドに、パーカッションを際だたせ、よりアフロ〜ラテン的なエクステンションを加えようというニュアンスだろうか。
 アナネ (vo)、ジョシュア・ミラン(vo)、ジーン・ペレス(b)、カルロス“ネネ”キンテーロ (cga) といったEOLでお馴染みのメンバー、あるいは、ルベン・ロドリゲス(b)、いとこのロベルト・キンテーロ(cga, bata) などの腕っぷしの他、楽曲によってラテン界の多彩な顔ぶれが関わってくる。
 コンガのアンサンブルをティンバレスに置き換えたルンバのような、ユニークなトラックに始まり、ネスター・トーレス(fl) を迎えた甘味なアフロキューバン、フェラ・クティやトニーニョ・オルタのカバーといった、アフリカン〜ブラジリアン・テイストまで、ルイシートの太鼓の使い手としての引き出しの多さが表に出た、アルバム前半。そういえば、EOLでも彼はパナマのタンボリートなんかも持ち出していたっけ。
 中盤エクトル・ラボー(ルイ・ベガの叔父)&ウィリー・コロンの時代のバンドメンバーでもあった、ホセ・マングアルJr.とミルトン・カルドーナの硬派コロ・コンビが加わるデスカルガ・チューンから、いよいよルイシート・キンテーロらしいトラックがお目見えしてくる。ヒルトン・ルイス(p) やブライアン・リンチ(tp) なども加わり、レイ・バレットやティト・プエンテなどのカバーが続く。ともすると、ニューヨリカン・ソウルのようなアプローチを思い描くかも知れないが、以前にルイシートがペドロ・マルティネスらと共に、主役としてパーカッションのLP社からリリースした『Montvale Rumba』からも分かるように、この辺はルイシートにとって、血肉と言って良いほど身体に染みついている音楽なのだ。
 さらに、ニューヨーク・ラテンにおけるヨルバ・ソングの拠り所としての側面を持つ、ミルトン・カルドーナをメインに据えた曲では、サンテリア音楽におけるルイシートのスキルも窺うことが出来る。
 90年代後半のイシドロ・インファンテ&エリテでの仕事は好きになれなかったけれど、EOLでのルイシート・キンテーロはお気に入り。2003年のEOLのブルーノート東京でのギグも、その年のマイベストと言って良いほどのライブアクトだった。しかしただひとつ欲を言うなら、もう少しベネズエラ人の主張があって良いのでは?(2006.3 SY)