SOFIA KOUTSOVITIS

Ojalá

2005 [Sofia Koutsovitis]
 ラテンジャズ…といっても、キューバを中心とするカリブ海方面のものではなく、ハチロクのリズムが中心のいかにも南米的なニュアンスが強いラテンジャズ。歌手ソフィア・コウツォビティスのソロアルバムというよりも、彼女がリーダーを務めるグループのアルバム、といった感じの、とにかくバンド・アンサンブルが素敵な一枚だ。
 ブエノスアイレス出身で、現在はニューヨークに居住している、ソフィア・コウツォビティスのこのアルバムは、デビュー作とは思えないほどの、熟達した歌いっぷりにまず驚かされた。スペイン語、ポルトガル語、英語を用いながら、丁寧で耳に心地よい歌唱が高いプロ意識を感じさせる。9歳の頃から合唱団でプロとして歌い始めたというから、若いながらに豊富な経験をしてきたアーティストなのだろう。まるでソプラノ・サックスやクラリネットのように、バンドと一体化するような歌唱もユニーク。
 アルゼンチン(サンバ、チャカレーラ、ガート)、ブラジル(サンバ)、ペルー(フェステーホ)などのローカルリズムに、ホーンが前面に出たジャズ的要素が色濃いアレンジ。オープニングのシルビオ・ロドリゲス「Ojala」のカバーで、早くもノックダウンを食らってしまった。オリジナル・コンポジションを交えながら、ラウル・カルノータやエドゥアルド・ファルーなど、アルゼンチンの名作曲家らの作品、あるいはカバーの多いジャズ・バラード「You Don't Know What Love Is」などが並ぶ。この「You Don't〜」以外は、ほぼソフィア自身がアレンジを担当をしているらしいので、その才能にも驚きだ。
 ソフィアは自身のグループの他、フォルクローレ・ウルバーノ(こちらはコロンビア風味)を筆頭に様々なプロジェクトに参加している。先頃リリースされたモニカ・ヘイドマンのアルバムにもゲスト参加していて、近々モニカのグループとの2本立てのリリース・パーティーもニューヨークで行う模様。
 彼女の名前が世界のラテンジャズ・ファンに知れ渡る日は、そう遠くはないような気がする。(2006.6 SY)