PEDRO MARTINEZ

Slave To Africa

2006 [intoxicate 1008]
 ペドロ・マルティネス、ロビー・アミーン、マジック・マリックらの参加によるギグが、2003年にタワーレコード(jp) のパブリッシングと青山CAYとの共同企画により行われた。このレコーディングのリリースも企画の一連のひとつだと思うが、個人的に大好きなアーティストであるペドロ・マルティネス(vo/cga/dr) の初ソロが、日本のシャフトで発売となったことは、レーベルに感謝のひとことだ。日本語タイトルに『重力の虹』と、トマス・ピンチョンの小説の名がつけられている。
 リリースの情報を知ったとき、アンドレス・レヴィンのプロデュースということに正直少し不安を持っていた。イェルバ・ブエナを含む彼の仕事は好きなのだが、最近リリースされたシオマラ・ラウガーのアルバムが、彼女の妖艶な魅力を引き立てるような作品ではなかったからだ。しかしアルバムは、ペドロ・マルティネスの持ち味全開に、無駄な心配を蹴飛ばしてくれたのだった。
 キューバ時代も輝かしい戦歴を持っているが、多くの人がハバナ生まれのペドリートの名前を耳にするようになったのは、1990年代も終わりに差しかかるニューヨーク移住後からだろう。映画『カジェ54(Calle 54)』のパタート&プンティージャのパートや『ディープ・ルンバ』『エル・ネグロ&ロビー』などキップ・ハンラハン周辺、イェルバ・ブエナetc…彼の参加はプロジェクトの核となって確実にレベルを上に押し上げている。
 アルバムはアフロキューバン、アフロ&ファンク・ビートを基本に、近年プログレッシブなシーンで働いてきた「パーカッショニストとしてアフリカに隷属している」ペドリートの太鼓さばきと、歌い手としてのスキルが大きく反映された内容だ。曲はすべて本人によるオリジナル。ひとつ驚いたことは、クレジットを見るとトラップドラムもペドリート本人が担当していること。アフロキューバン・ジャズにファンキーさを持ち込む、ロビー・アミーンのドラムとの相性をベストと考えていたが、これは本当にペドリートによるものなのだろうか?ドラミング・アイデアにも感心。
 アルフレッド・デ・ラ・フェ(vl)、ブライアン・リンチ(tp) ら大物も、比較的ワキに徹した控えめな参加。クレジットにはないが、トラック#6「Sabroson」にはオルランド“プンティージャ”リオスも参加している。
 #8「Ziona」の可愛い声の持ち主は、タイトル通り娘のシオナ。音楽一家のマルティネス・ファミリーだから、将来はやっぱり音楽の道かな?
 待ちに待ったリリースの内容にひと安心。(2006.7 SY)