V.A.

Music From The Wine Lands

2006 [Putumayo 252]
 これは面白い切り口のコンピ。企画賞です。ワインの産地からの音楽。泡盛だったら何となく似合う音楽が浮かんでくるけど、ワインだよ、ショップのどこに置かれるのかな? この暑い季節、キリッと冷えた安シャルドネに浸っている日が多い身には、辛抱ならないほどの興味。
 チリやアルゼンチンなど、南米にもワインの生産国として名高い土地があるので、アルバムはなんとなくラテン指数の高いものが中心に構成されているようだ。オーストラリアやカリフォルニア、南アフリカなどはともかく、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル…ラテンぽいのも当たり前か…。
 今年ゼニット(パリ)で式典が行われた“Victoires De La Musique”で、ナマのステージアクトを見せてくれた、フレンチポップス注目の新星、ポーリーヌ・クローゼによる、ボッサ・ミックスのフォーク臭シャンソンでアルバムは始まる。
 スペインからは、アンパラノイア。女性シンガーのアンパロ・サンチェスによるプロジェクトで、マヌ・チャオなどとも交流が深いアーティストだ。曲はキューバのソンの香りがプンプンするメスティソ・サウンド。
 ポートワインにはファド。悲哀に満ちたメロディがいかにもポルトガルらしさを感じさせる、ジョルジュ・フェルナンドの曲。
 ボサノヴァ風味のアレンジはポーリーヌ・クローゼだけでなく、リタ・カリプソでも知られていた、スペインのアナ・ラーンもジャズ色の濃いスパニッシュ・ボッサを聴かせてくれる。また、NHKドイツ語講座にも出演したジャーマン・エレクトロニカ・デュオ、ツヴァイラウムヴォーヌングも意外だったが、アコースティックなボッサ調の曲でのピックアップ。
 チリからはマリアナ・モンタルボ。レゲエなども取り入れる広い間口と、ギターだけでなくクアトロやチャランゴを持ち、ヌエバカンシオンの大動脈を感じさせる歌唱を聴かせるアーティスト。このアルバムでは彼女にしては民俗調の薄い曲が取り上げられている。
 音の出所は様々だけれど「オーガニック」「フォーキー」「オルタナティブ」といったキーワードによってアルバムは束ねられ、とっちらかりのない仕上がりになっている。
 美しく流れゆく夕刻に別れを惜しみつつ、美味しい音楽とグラスいっぱいの心地よさを、今日も身体の中に流し込んでやるのだ。(2006.8 SY)