V.A.

Léritaj Mona

2006 [Cysta Management 2162]
 ユジェーヌ・モナ没後15年ということで、制作されたトリビュートCD。ユジェーヌ・モナは、言わずと知れたマルティニーク大衆音楽史に名を残す、偉大なるシンガー・ソングライター/フルート奏者。荒波にだっぷーん!と飛び込んだり、陸に上がってはヤシやマンゴーをガシガシ食って飲み屋で歌い、おおよそテレビ出演などでの小綺麗な衣装なんかは全く似合わず、ステージでも裸足であることが多い、ジョーク好きで音楽同様に野性味を持ったアーティストだ。1991年に48歳という若さで他界し、その葬儀は島をあげての壮大なものだった。有名な映画『マルチニックの少年』にもアクターとして出演している。
 彼の音楽は、タンブー・ディ・バス、タンブー・ベレなど、伝統楽器の専任を置き、マルティニークの伝統に根付いてはいるものの、ドラムセットやベース、キーボード他を用いた、あくまでポピュラー・サイドの演じ手である。
 さて、アルバムは1970年代の曲「
Bibon Dachin」で始まる。これを歌うのはマラヴォワで来日しているピポ・ジェルトルード。何気なく聴いた当初は、ピポがモナのモノマネでもしてるのかと思ったが、オリジナルのモナの声とピポの声をシンクロさせているのだった。
 クラウディーヌ・ペノンが歌う「
Mi Bach」も同様に古い曲だけれど、オリジナルのタイトなマズルカとは異なり、しっとりと爽やかなアレンジが施されている。アルバムのほとんどはギター&キーボード担当のルノー・リントがアレンジ。いくつかのズークCDにある、メロディメーカーとしてのクレジット以上のことは存じ上げない。
 PVも作られた「
Bwa Brilé」は、ピポやマックス・テレフ、ドミニク・ロルテ、マルセ他、様々なアーティストが声を披露する、アルバムのハイライトだ。モナはマルティニーク伝統だけでなく、ブルースやゴスペルにも積極的で、そんなモナらしさを残した正しいアレンジだと思う。
 ズークR'n'Bのファーストコール、ジャン・ミシェル・ロタンは、原曲のシュヴァル・ブワ「
Bégui Bégui Bang」を全く異なったイマドキのズークで歌う。ここで“いかにも”なベース音で、フレデリック・カラカスの参加に気づいた。
 面白いのは「
Mi Lago」。歌い手はグアドループの太鼓集団、アキヨからの参加で、グアドループ色全開のグウォカ・アレンジ。
 昨年の9月のイベントでは、ジョセリーヌ・ベロアールやコロ・バーストなども参加していたようだけれど、ユジェーヌ・モナの名前にしては、やや小粒な印象。次回の企画では、ゆかりのある多くのアーティストの参加によって、更に華やいだ作品を希望。もちろん姪っ子ミシェリーヌも加わってね。(2007.05 SY)