KIMSON PLAUT

Ubatuba

1996 [LPC 01/96]
 風のそよぐリゾートであったり、都市の風景であったり... 自分にとって心地よい場所、故郷のように懐かしい場所は、人によってまちまちである。ニューヨークのピアニスト、キムソン・プラウトにとって思い出あるブラジルの地をタイトルにしたこのCDは、場合によってはとっつきにくいラテン・ジャズという分野にありながら、聴く側の誰にとってもそんな心地よい風景を描かせられる希なアルバムである。
 キムソン・プラウトの名は、恐らくこのページをご覧になられている方は、ニューヨークの人気チャランガ・グループ、ロス・ホベネス・デル・バリオのメンバーとしてご存知に違いない。また、この「ウバトゥバ」に参加しているミュージシャンたちの顔ぶれの中にも、普段キューバ系の音楽を聴いている方々は、お馴染みの名前を見つけることができるだろう。
 ブラジリアン・テイストでいっぱいながら、ラテン音楽フリーク全体を包み込む理由は、こういったメンバーたちの参加も一因かもしれないが、むしろキムソン・プラウトのアレンジのフトコロの深さに因る部分が多いだろう。ブラジルとかキューバとか、あるいはジャズだとかラテンとか、そんなカテゴリーにとらわれずに、心地よくスウィングしたい人々にぴったりのアルバムだ。
 パキート・デリベーラのクラリネットが温かく流れる。そしてエレガントという表現がふさわしいピアノがここにある。(1998.04 SY)