MALAVOI

La Case A Lucie

1986 [Blue Silver]
 1970年、バイオリンのマノ・セゼール、ピアノのポロ・ロジーヌらによって結成され、メンバーの入れ替えも幾度となく行いながら、今も尚マイペースな活動をしているマラヴォワの1986年のアルバムである。
 カリビアン・エレガンスの極みといった、今のような演奏を結成当初からしていたわけではなく、マラヴォワ・サウンドが確立され、正当な評価を受けるようになったのは81年に3Aからリリースされたアルバム以降である。(このアルバムは "La Belle Epoque" とタイトルされイビスクス・レコードよりCDリリースされている)
 数々のローカル・ヒットを飛ばしながら、80年代半ばにフランス本国で紹介されたことにより彼らの知名度は世界的に広まったのだが、この "La Case A Lucie" は自信と円熟した演奏が凝縮されたマラヴォワ・サウンド究極の一枚に違いない。古い時代からマルティニークのみならず、キューバやプエルトリコ、ハイチなどの音楽も演奏してきただけに、多芸ぶりも楽しめる一枚だ。
 ヒット曲 "SIDONIE" をはじめ、メロディの美しさに絶句するマズルカ・ナンバー "APRE LA PLI"、ブラジル色の強いアルバム・タイトル曲、アパルトヘイト問題を歌った話題曲、これぞマラヴォワといった "SPORTS NATIONAL"、バラード・ナンバー "GENS MOIN"、ニコル・ベルナールのビブラフォン・インストルメンタル "ATLANTIK"、すべてマラヴォワを代表する曲の数々である。
 マラヴォワのコンセプト・メーカーであったポロ・ロジーヌは5年前に他界し、そのサウンドを作り上げてきたメンバーたちの影も薄くなったが、いつでも「マルティニークのとびきりのミュージシャンを参加させる」という変わらないスタンスも、彼らの素晴らしさの一部である。スペイン語圏カリブの音楽ばかり聞いてきた方も一度足を踏み入れてもらいたい。(1998.05 SY)