ALFREDO RODRIGUEZ

Cuba Linda

1996 [Rykodisc HNCD 1399]
 キューバ生まれのジャズピアニストであるアルフレド・ロドリゲスの“CUBA LINDA”はキューバの様々な伝統音楽のエッセンスがぎゅっと凝縮されている。人気キューバン・アメリカンのプレーヤーや、タタ・グィネスをはじめとするキューバの重鎮たち、ストリート・ミュージシャン入り乱れての聞きどころたっぷりの一枚だ。
 オープニングのデスカルガ・ナンバー“TUMBAO A PERUCHIN”は1950-60年代に活躍し、以後多くのピアニストに影響を与えたペルチンへのトリビュート・ナンバーである。ペルチンの息子がギターで参加している。続く2曲目はグアグアンコー(ルンバのひとつ)。この曲の作曲者で故国キューバを見ずに死んでいった歌手、友人ヴィルヒリオ・マルティ(グルーポ・フォルクロリコ・イ・エクスペリメンタル・ヌエヴァヨルキーノなどにも参加している)へ捧げるノスタルジックなナンバーである。3曲目の“CUANDO VUELVO A TU LADO”は60年代にヒットしたボレロをダンソンにアレンジしたもの。バイオリンとフルートは、オルケスタ・アラゴーンのメンバーたち。4曲目はコンゴ系の宗教セレモニー“パロ”にピアノ伴奏でアレンジを試みたもの。5曲目はキューバ東部のハイチ人コロニーに受け継がれているトゥンバ・フランセーサ。ハイチはもとよりプエルトリコ、小アンティルまで、カリブ全域が共有するリズムの源流を容易に汲み取れるに違いない。6曲目“MERCEDITA YA ME VOY”はヨルバ信仰サンテリアの聖人の一人であるオバタラを歌ったもの。MERCEDITA=メルセデスに捧げている。(キリスト教とアフリカ宗教の要素が融合したサンテリアでは、オバタラはローマン・カトリックのメルセデスに相当する神らしい)バタと歌だけのセレモニアルな曲調から一転してソン・モントゥーノに変わる美しい曲。続く7曲目もバタ、ピアノ、ベース、歌だけのゆったりした曲。1930-40年頃に活躍し数々の映画音楽の作曲で知られる、バンドリーダー/作曲家のエリセオ・グレネによる曲である。ラストはグアグアンコーから典型的なコンガ・オリエンタル(カーニバル・パレードであるコンパルサのときに主に用いられる音楽)へ。
 これからキューバ音楽の伝統に触れてみたい、という人に特にお薦め。キューバ音楽カタログのような一枚である。(1998.08 SY)