RALPH THAMAR

Embarquement Creole

1996 [ARCADE 3017292]
 90年代後半のズーク・シーンのアルバムは、サルサやキューバ音楽を盛り込むのがなんだかトレンドのひとつのようになっている。サキヨのパーカッショニストとしても知られるバゴ・バルサザーのアルバムにも、シュヴァル・ブワの合間に突拍子もなくグァラーチャ・ナンバーが入っていたりするし、ジャン・ミシェル・カブリモル率いるマフィアやカッサヴの新譜なんかもサルサ&ソンのオンパレードである。フランスのみならず、近年のマルティニーク、グアドループでのサルサ人気の現れであろう。
 2年前にマルティニークを訪れたときもチェオ・フェリシアーノのライブが大盛況だったのを覚えているが、先月11月にはジョニー・リベーラ、ラウル・パズ、コリーンといったRMM勢が当地を訪れ、サルサをばらまいて人気を博しているようだ。
 さて、ラルフ・タマールの場合、マラヴォワ在籍時からライブではスペイン語でトラディショナルなキューバ音楽を積極的に歌い続けているが、この "EMBARQUEMENT CREOL" では1曲目でコンフント・スタイルのサルサを聞かせてくれている。パリ在住のベネズエラのパーカッショニスト、オルランド・ポレオが録音に参加して、きっちりしたサウンドに仕上げている。ジャン・フィリップ・マルテリー、パトリック・サント・エロワ(共にカッサヴ)がコロ担当というのも面白い。また、ビギン・ジャズを代表するピアニスト/作曲家、マリオ・カノンジュがこのアルバムにも参加していて、バイオリンをフィーチャーしたマラヴォワ・スタイルのマズルカ・ナンバーを提供している。まさしく、マラヴォワに捧げる曲らしい。
 このジャンルのファンの間では名の通っているラルフ・タマールも、実力的には本来もっと評価を受けなければならない、カリブ/ラテン音楽のトップの歌手の一人である。(1998.12 SY)