DOMINGO QUIÑONES

Se Necesita Un Milagro

1997 [RMM 82219]
 ドミンゴ・キニョーネスはプエルトリコにおいて、出すアルバムごとに次作を期待させる、今最も魅力的なシンガーのひとりである。歌手としての実力はもちろんのこと、作曲能力にも優れた才に恵まれた人物だ。
 ニュージャージー生まれの彼のキャリアは1983年にニューヨークでコンフント・ナティヴォに参加するところから始まる。その後ラファエル・デ・ヘスース、ホセ・アルベルト、ジョニー・ロドリゲス、コンフント・クラシコといった多くの人気バンドを渡り歩き、80年代半ばにはルイス・ペリーコ・オルティスのオルケスタのリード・シンガーを務めることとなる。ペリーコ楽団のアルバムに曲を書き下ろすなど、ソング・ライターとしての実力はこの頃には既に発揮している。
 91年にファースト・ソロアルバム "Mi Nombre Es Domingo" をリリースして以来、今日までの彼の成功はご存知のことであろうが、平行してヒルベルト・サンタ・ローサ、ジョニー・リベーラ、アレックス・レオン、マイルス・ペーニャ、レフティ・ペレス…など、数多くのアーティストのレコーディングにコロとしても参加している。
 プラチナ・セールスを記録した、通算5枚目のこの "Se Necesita Un Milagro" は、社会の暗い部分に目を向けた、彼にとってひとつの転機であるに違いない作品だ。先頃リリースされた、次作にあたるクリスマス・アルバムも非常にメッセージ色の強いアルバムであり、両アルバム共に、コンセプト・メイキングは自分であることを強く主張した作品でもある。
 また、ともすると画一的になりがちなサルサCDのなかで、ゴスペルやプンタっぽい曲を取り上げたりするのも、他のアーティストと一線を画すところでもあり、表現の仕方はどうであれ、この辺の自由で攻撃的な気風とプロフェッショナリズムはウィリー・コローンを感じさせるところがある、と勝手に思ってみたりする。ともあれ、この男前の爆進劇は、さらに加速を増して続いていくのは確実だ。(1999.01 SY)