ALBERTO

 1993年のディアマンテスのボーカリストとしてのメジャー・デビュー以来、TV、ラジオに幅広いフィールドで活躍し、多くのファンの心を掴んでいるアルベルト。「歌える」実力派シンガーとして、日本のラテン音楽シーンを代表する貴重な存在とも言える。
 既に『ハートに火をつけて』(2000)、『ハバネラ』(2002) と2枚のソロアルバムをリリースしている彼が、第3弾として『モナリサ』をリリース。今回もアンヘル・フェルナンデス(tp) のディレクションのもと、リッキー・ゴンサレス(p)、ルベン・ロドリゲス(b)、ボビー・アジェンデ(conga) 他、ニューヨーク・サルサ界の凄腕がレコーディングに集結している。アメリカンポップスのスタンダード、ラテン・スタンダード、J-ポップスや歌謡曲などの親しみある曲をスペイン語でカバー、温かみのあるサルサ・アレンジながら、個々の楽器のキレの良さはやはりニューヨークを感じさせる。
 いまにも雪になりそうな冷たい雨が降る都内某所、この新作の内容から話を伺うことにした。
 歌をメインにややアコースティックに作られたサウンド。ティンバレスなどを引っ込ませソフトなアレンジになったことに関して。
 「よく気が付きましたね。初めからシンプルなスタイルにしようという意向はあったんです。レコーディングの仕方もシンプルで、まずピアノ、ベース、パーカッション、ボーカルの4人で、せーので録っちゃって、後からホーンなどを足していくわけです。人材豊富なニューヨークですから、何の楽器を抜いていくかを考えるのは難しいですけど。」
 アルバムの中には「モナリサ」「粋な男」というアルベルトの故郷ペルーを感じさせる、大陸的なハチロクでカバーした曲が収録されているが、このあたりでパーカッションをボビー・アジェンデからベネズエラ系のロベルト・キンテーロに変えるあたりの、適材適所の的を得たアンヘルのディレクションもさすがである。
 「ムーン・リバー」のアレンジのカッコ良さ、意外にもサルサにフィットした久保田利伸の「ミッシング」、ボンバ・アレンジによってより“島”らしくなったTHE BOOMの「島唄」など聞き所満載の中、このような選曲はどういった方法で行われるのだろう。
 「まず基本的には僕の希望を持ち込むんですが、レーベルのスタッフたちと相談しながら、足し引きして決定していきます。今回はメロディアスな優しい感じの曲が中心ですね。“星降る街角”ですか?これはプロダクションの社長のアイデアなんですよ。カラオケでよく歌われる曲ですけれど、コミカルなアクセサリーはもちろん外してアレンジされています(笑)。」
 「“島唄”はTHE BOOMのMIYA(宮沢和史)から、スペイン語バージョンを歌うように言われていて。『(アルゼンチンでヒットさせた)カセーロがいるじゃないか』と言ったんですけど『カセーロは日本語で歌ったから良かったんだ』と言われて歌詞を完成させました。MIYAのアルバムにも違ったバージョンで入っています。」
 幅広いファンを獲得していることもあって、柔軟な選曲が必要なのだろう。当初「星降る街角」には個人的に疑問を感じたけれど、本人の言う通りもともとラテンぽい曲調ということもあり、スペイン語の歌詞も違和感なく乗っているミラクルなアレンジ。また、各トラックのオリジナルとの共演については。
 「あー、是非してみたいですね。アダモと共演したいなあ(笑)。」
 「サルサでいうと僕が一番共演を望んでいるのはルベン・ブラデス。僕の中のマエストロですから。コーラスでもいいから一度共演したい。そして音楽以外のことも話してみたいんです。是非沖縄のことも紹介したい。彼は沖縄のことを知っているかどうかわからないけれど、語ることはたくさんあるんじゃないかと思います。」
 将来的な夢や目標に関しても彼はこう続ける。
 「僕が住んでいる沖縄はラテンが似合うところ。音楽全体が似合うといえるかも知れないけど、やっぱりラテン。沖縄がラテン王国、楽しい島になるように何か貢献できたらと思います。観光客もハッピーになるような…。」
 最近ジャズを聴ける年齢になったというアルベルト。王道を突き進む彼の着実なステップアップを『モナリサ』で感じ取っていただければと思う。

2003.1.23 at M&I Company
Interview & text: Seiji Yamaguchi
Thanks: M&I Company