ROBBY AMEEN

 ルベン・ブラデス、デイヴ・バレンティンなどで知られる、ニューヨークのトラップドラマー、ロビー・アミーンがキップ・ハンラハン“ディープ・ルンバ”で来日。今でこそ、キューバのティンバ・ムーブメントの影響もあり、ドラムスを取り入れたサルサは珍しくはなくなったが、このフィールドでの先駆者的な存在であるロビーは、何を契機にキューバン・リズムに突入していったのだろうか。
 「僕が育った周囲には多くの優れたパーカッション・プレーヤーがいて、そのなかでもとりわけ凄かったのがビル・フィッチなんだ。カル・ジェイダーのグループで主にコンガを叩いていたことでも知られるんだけど、早い時期から変拍子を取り入れていたり、チック・コリアとかと一緒に先鋭的なことをやっていた人物で、ジョバンニ・イダルゴなんかも彼を敬愛している。10代前半に彼の演奏を目の当たりにしたことが大きな出来事だった。」
 ティンバレスのみのセットに立っている、ロビーの古い写真を見た覚えがあったが、そのことについて彼はこう続ける。
 「ティンバレスやコンガもやるけどね。頼まれればやるというだけのこと。専任のコンガ・プレーヤー、ティンバレス・プレーヤーを差し置いてまではやらないよ。」
 そんな彼がこれまでに参加してきたレコーディングのなかで、良し悪し関係なく印象に残るものを尋ねると、ちょっと考えたあと冗談混じりに「悪いほうがすぐに頭に浮かぶね。あっはは。」
 「ディジー・ガレスピーの“New Faces”かな。昼メロかなんか見ているときに電話があって、ディジーとのレコーディングを今日やらないかって言うんだ。急な話だったけど、ディジーだからね。打ち合わせの時間もほとんどなく、緊張するヒマもなかったよ。」
 また、彼は盟友オラシオ“エル・ネグロ”エルナンデスと組んだアルバムをリリースする予定だが、どういった内容のものなのだろう。
 「ディープ・ルンバで僕らがやっていることとは、また違った中身なんだ。70年代のマイルスのようなものとか、ルベン・ブラデスがストーンズの“Sympathy for the Devil”を歌ったりとか。“エル・ネグロ”の家にはショップのようにいろいろな打楽器があってね。二人でいろいろ一カ所に持ち寄ってレコーディングをしたんだ。ティンパニやザイロフォンや... ゴング(笑) とか。」
 来日前に、オスカル・エルナンデスとのレコーディングがあったようだが、これについては、ラテンとかとまったく関係ないらしい。ボビー・アジェンデとかルベン・ロドリゲスといった敏腕が参加していていたわりには、普通の歌のレコーディングということだ。ラテンの売れっ子といっても、仕事はいろいろだ。
 彼が関わった近々リリース予定のタイトルは、名もないアルゼンチンのレコーディングから、ポール・サイモンまでジャンルを越えて実に多彩である。これは、ラテン・ドラミングのビギナーへのアドバイスを求めた答えに挟まった、この言葉を地で歩いた結果に他ならない。
 「進化するルンバを理解するためにも、様々なジャンルの音楽を聴きまくることだ。音楽には聞きすぎなんてものはないからね。」

2001.5.15 at Blue Note Tokyo
Interview & text: Seiji Yamaguchi
Thanks: Blue Note Tokyo, East Works Entertainment